- 以前、地元の掲示板に書き込みしたやつですが、今回の市長選を振り返って、改めて大衆社会の陥穽ということを考えざるを得ません。
- 333: 名前:あきもと投稿日:2008/05/07(水) 21:41
- スレッドとあんまり関係ないかも知れないけど、読んでなんか暗示的だなと思ったんで転載してみる
出典は、杉浦敏子『ハンナ・アーレント入門』藤原書店(2002.12.30) p100 l1~12
現代において民主主義は、プラスのシンボルとして機能しているように思われるが、他方、その隘路が指摘されることも多い。民主主義は治者と被治者との一致、つまり自己統治を意味し、積極的な政治参加をその前提としている。ところが福祉国家の進展は、公権力を肥大化させ、官僚機構の弊害を生んでいる。そこでは大衆の受益者意識が増大し、大衆は受動的存在へと落とし込まれている。
- 334: 名前:あきもと投稿日:2008/05/07(水) 21:41
- さ らに福祉国家(大衆国家)においては、大衆は、政治的平等だけではなく、経済的、社会的平等の実質的な達成までも、国家に期待する。そこでは理性的で自由 な討論が十分には行われず、その結果として、大衆の手による自発的で合理的な社会秩序の形成が困難になる。そのような中で「世論」の暴力性が顕在化する。 それは「多数の専制」と呼ばれるような状況である。そこに民主主義の名のもとに人間の自由が圧殺されるという事態が生まれる。人民主権の論理が反転して、 専制に転落する危険さえある。
- 335: 名前:あきもと投稿日:2008/05/07(水) 21:41
- この民主主義の持つ同質性の陥穽の問題は、摩擦や分裂や対立の関係をも、政治過程に積極的に取り込むような多元性の保障が一つの解答になる。
337: 名前:337投稿日:2008/05/14(水) 22:12
- >ところが福祉国家の進展は、公権力を肥大化さ
>せ、官僚機構の弊害を生んでいる。そこでは大衆の受益者意識が増大し、
>大衆は受動的存在へと落とし込まれている。
↑
行政国家現象の行き過ぎ????
暗示的って何??????
- 338: 名前:あきもと投稿日:2008/05/15(木) 01:12
- >>337
これ↓は意味がわからないので答えられません
> 行政国家現象の行き過ぎ????
> 暗示的って何??????
★医療崩壊の問題でも触れられているように、現在、多くの国民は医療・福祉にしろ道路など基幹交通網やいわゆるハコモノ整備にしろ、国や地方自治体が提供するのが当たり前で、医療関係者の労働実態や財政上の問題まで知ろうともしなかったし考えようともしなかった
前に別のスレッドで誰かが書いていたけど、「難しい話は議員にまかせればいい」みたいに考えること自体を放棄してしまう傾向がある
主権者たる国民の間で「理性的で自由な討論が十分には行われ」ないから、「大衆の手による自発的で合理的な社会秩序の形成」も望めない
受益者意識ばかり膨らんで国家に何でもかんでも期待するから、当然のように官僚機構の肥大化を招いてきた
- 339: 名前:あきもと投稿日:2008/05/15(木) 01:12
- 国民の期待に応えるべく官僚機構が肥大化すればしたで、今度はその弊害も大きくなるから、それに対しての不満がつのって大きな「世論」になってきた
そういう多くの国民の不平不満をエネルギーとして登場したのがコイズミであり、「「世論』の暴力性が顕在化」したものとして郵政選挙があった
そのように僕には感じられたので「暗示的」と書いたわけです
選挙によって生まれた「多数の専制」も、その直後には「多数の専制」に与していたはずの大多数の国民が、「民主主義の名のもと…圧殺される」側に転落していると見えます
ヒトラーによるナチスドイツが、当時としては世界最先端の民主的憲法の中で生まれたことを思い起こせば、いまの日本もそれに似たような状況にあると感じます
- 345: 名前:あきもと投稿日:2008/06/13(金) 23:21
- ま たぞろ硬いお話しになっちゃいますが、瑞鶴荘の問題がらみで行政の対応にいろいろと疑問に思うところがあって、そっち方面の専門家と話したりメールでやり とりしたり、書かれたものを読むうちに、戦後、アメリカでいろいろと試行された社会心理学的実験の数々に出くわしました
'50年代にソロモン・アッシュたちが始めた「同調実験」、別名「アイヒマン実験」とも呼ばれるスタンレー・ミルグラムによる「服従実験」、映画『es(エス)』のモチーフにもなった、フィリップ・ジンバルドらによる「スタンフォード監獄実験」などなど
それらの実験の詳細についてはwebで検索するなり書籍を呼んでいただけばよいと思いますが、実験結果は、一般的な人間の判断力や倫理的行動について、かなり深刻な事実を突きつけました
- 346: 名前:あきもと投稿日:2008/06/13(金) 23:21
- 人間というものが、いかに他人の言動に左右されやすいものであるか、権威や権力に対して服従的であるか、自身が与えられた役割に忠実であろうとするために、いかに非倫理的になるか
そういうことが次々と明らかにされたわけです
故・淀川長治が実験結果を知ったら、思わず「怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ」と十八番の名せりふを吐いたに違いありません
同調実験については多少の国民性の違いがあるようですが、基本的には国籍や民族・年齢・性別に無関係です
そういう人間の特性を悪用する人たちがいてもらっちゃぁ困るわけですが、昔と違ってマスメディアやネットが普及した現在、意図的な情報操作、世論誘導というのは、やりようでははるかに効率的に可能でしょう
- 347: 名前:あきもと投稿日:2008/06/13(金) 23:21
- 一 般的には日本より民主主義国家として進んでいると思われているアメリカ合州国で、国民多数の支持で嘘で塗り固めたイラク戦争に突入してしまったことや、 「自衛隊が行くところが非戦闘地域」だなんて非論理的な言葉をのたまったコイズミを持ち上げ続けた日本国民は、共に理性的な判断ができなかった点で、いつ 全体主義に転んでもおかしくないと思います
僕ら一人ひとりは筋金入りのナントカ主義者でも狂信的なオカルト信者でもないわけですから、自分の考えや判断に絶対的な自信なんてあるわけもなく、だからこそきちんとした議論ができるようにしていかないと、結局、自分で自分の首を絞めることになると思ってます